懐かしい地方私鉄の風景
マイカーの普及
よろい戸や荷棚の支えが『古きよき時代』をしのばせる140形の車内もと長野電鉄300形である。自販機を設置した300形おもに1時間ごとの急行に使われている3扉車であるがクロスシートつき。懐かしい地方私鉄の風景とは。昭和40年代、全国をモータリゼーションの嵐が駆けめぐった。いわゆるマイカー時代の到来である。大都市はもちろん、地方都市も農村部や山間部でさえ、一気にクルマ社会へと変貌した。マイカーの普及は、交通体系はおろか生活パターンまでも変化させた。いつでも、どこへでも、時間にとらわれることなく、人や荷物を運ぶことができるようになったのである。それまで、人々は鉄道やバスを利用して移動していた。
私鉄ローカル線
大都市以外では、各地に私鉄ローカル線が張りめぐらされ、1~2両の編成で、一日10~15往復の列車がのんびりと走っていて、利用者は列車を時計代わりにするくらいのペースを生活の規準としていたのである。電化私鉄でも現在から見るとのんびりしたもので、戦前製の小型の釣掛駆動車、木造駅舎、タブレット、ポイント転轍レバーに腕木信号機など、現在では模型の世界でしか見ることのできない風景が日常の姿として展開していたのである。モータリゼーションは、そんな地方私鉄の風景を無惨にも葬り去った。
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